膝関節は体重を支えているため、日常生活でも常に大きな負担がかかっています。最近では椅子に座る機会が多くなっていますが、元々日本は床文化のため、正座や床からの立ち上がりなどで特に膝に負担がかかっています。更年期、老年期の方では変形が痛みの原因であることが多いです。またスポーツでも損傷を受けやすく、若年の方に多くみられます。
◎膝関節痛の原因
次の原因が考えられます。
・靭帯の損傷
膝関節は内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯、後関節包の5つの靭帯で支えられています。スポーツなどで損傷を受けすく、男性では内側側副靭帯、前十字靭帯損傷が多く、女性では前十字靭帯損傷が最も多いです。
熱感や腫脹がある場合にはアイシングを優先させますが、その後鎮痛、腫脹の軽減に鍼灸治療が効果的です。治癒した後でも冷えや使いすぎによって痛みが出る方もいます。お灸で温めながら筋肉をほぐすことで痛みの軽減につながります。
・軟骨の損傷
内側半月板、外側半月板の損傷です。疼痛を軽減させることで、日常動作の改善やスポーツ動作の改善につながります。
・筋肉・腱の炎症によるもの
鵞足炎(がそくえん)、膝窩筋腱炎、ジャンパー膝など
ジャンプ動作を繰り返す競技や長距離走など、膝周囲の筋肉に負担がかかることで、付着している筋肉や腱に炎症が起こっている場合です。筋肉の緊張を和らげる治療を行います。
・変形によるもの
オスグッド病、変形性膝関節症
オスグッド病は成長期のスポーツを行う男子に多くみられます。筋肉に緊張がありますので、それを和らげる治療を行います。
変形性膝関節症
中高齢者の特に女性に多くみられます。関節軟骨が弾力を失い、すり減ることで炎症を起こし、痛みが生じます。また太ももの筋肉低下、О脚変形などにより体重を支えることができず、膝により負担をかけていきます。
動き始めの痛み、階段の昇り降り(特に下り)時の痛み、正座ができなくなるなどの症状がでます。慢性的な痛みの場合お灸がよく効きます。腰や足の筋肉の緊張やを和らげ膝周囲の血流をよくすることで、膝に溜まった水も流れていくようになります。
膝の痛みは足の筋力が重要になります。痛みがあることで活動量が落ち、筋力低下によりさらに痛みを引き起こす悪循環になってしまいます。早めに治療を行うことが大切です。